B型だもの。

分散化していく世界の片隅で。

もう少しだけ、美味しいワインが飲みたいと思った。銀座界隈で。

訪れた店は「カーヴ・デ・ヴィーニュ」。銀座の名店ル・マノアール・ダスティンの姉妹店。毎週月曜は定休日だったところ、今年の1月から実験的に開けているのだそう。

月曜だけは通常のメニューと異なり、ル・マノアール・ダスティンの五十嵐シェフが築地に行き、良いと思った素材で料理を振る舞う。

ゆえに紙のメニューはなく、口頭で説明してくれる。料理への愛が迸る語り口を聞いていると、どれもこれも食べたくなる。

グラスの白ワインを頼むと、4本ばかりから薦めてくれる。まずはアルザスのリースリング。

アミューズ代わりのオリーブ。

続いて、ブータン・ノアールを一切れ。重ねられた白い皿に、ひとくちの黒。アートのよう。

この日頼んだものは、フォアグラとパスタ。

フォアグラは、てのひらサイズほどあるものに、イチゴソースを塗って、薄く焼いたクレープに、クレームタンジュを載せて。 極上のイチゴパフェを食べているよう。イチゴソースの甘みとフォアグラの旨味、爽やかなクレームの重層。

「もう少し食べられますか?」といわれて、パスタを頼む。揚げたヤリイカとグリルしたヤリイカ、そして筍と菜の花を軽やかなクリームソースで幅広のパスタと和えた料理。

ヤリイカの鮮烈、筍と菜の花の苦味。カプチーノの泡のようなクリームソース。

まだ寒いけれど、春は確実に訪れているのだと思わせる。

長く生きていればいろんなことがあるけど、季節は巡っていて、その豊穣を一皿にぎゅっと閉じ込めたこんな料理を味わえるなら、人生は上々。そう思える食事の底力。

厨房から五十嵐シェフがひょこっと顔を出され「料理はいかがでしょうか」と声をかけてくれる。帰りには玄関まで見送ってくれた。

カウンター6席ほど、テーブル席が4 卓ほど。厨房はふたり、サービスはひとり。

こぢんまりとした、ラボのような、隠れ家のようなワインバーである。
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