B型だもの。

分散化していく世界の片隅で。

純喫茶にハマっているというKさんが本を貸してくれて、すでに私もハマっている。

難波里奈
アスペクト
2015-08-07


純喫茶。なんというレトロな響き。

昭和の終焉とともに、ほぼ絶滅したかと(勝手に)思っていた純喫茶。マスターのこだわりと常連客の支持のもと、大手チェーンにはない空間と時間を提供する名店が各地に残っているのだった。時間の流れにいっそう磨かれて。

1300店以上の純喫茶を訪れたという著者が薦める全国1000軒の純喫茶。そのうち66軒は、美しい写真や文章とともに紹介されている。巻末には全国1000軒の店情報リスト。

上野「丘」、京都「六曜社」、神保町「ラドリオ」、阿佐ヶ谷「ヴィオロン」、西荻窪「物豆奇」ーー
ドリップで丁寧に淹れられたコーヒー。ぶ厚いホットケーキ、クリームソーダ、トーストやカレー。

子供の頃の憧れでありながら、なぜか隠微な空気がつきまとうのは、どうしてだろう。

著者のコラムを読むと、それは純喫茶の薄暗がりのせいかもしれないと思う。
蛍光灯の光があまり得意ではありません。ぱっきりとまぶしく、隅々まで照らしてしまうような明るさは、どうも自分の性に合っていないのかもしれません。

少しくらいの埃なら目立たないような、薄暗い空間の隅っこにいるとほっとするのです。もしかしたら、純喫茶好きの方の嗜好のひとつとして、そのような要素があるのかもしれませんね。
昼でも薄暗い空間に潜り込みたくなる時がある。小説とか雑誌とか、役に立たないけれども必要なものを手にして、少しばかりの時間を過ごしたくなる。

純喫茶にもの狂おしく心惹かれるのは、世間の喧騒から離れた、そんな時間と空間に安らぎたいからかもしれない。
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