B型だもの。

分散化していく世界の片隅で。

日本労働組合総連合会(連合)神津会長の「頑張れば賃金上がるという常識取り戻す」発言が年明け、絶賛炎上していた。(元インタビューの動画はこちら

反論の内容としては、「頑張っても成果を出さなければ賃金は上がらない」「いつの時代の常識を語っているのか」「右肩上がりの経済成長を前提としている時点で時代遅れ」という趣旨が多かったが、「頑張ったら収入が増えるべき、といってるひとが、過労死を生み出してる。」という意見も少なからず見られた。

「成果を出さなければ、頑張ったところで給与は上がらない」というのは至極正論だけど、一昔前なら、一部の経営者が従業員に向かっていう類の言葉だったように思う。

それが、おそらく経営者ではない多くの人々の意見になっているのは、右肩上がりの成長をもはや誰も信じておらず、かつて右肩上がりの成長を前提として強いられてきた努力に対して、NOを突きつけているということなんだろう。

そう思いながらも、なにかもやもやしていたのだが、ベーシックインカムについての記事を読んで、腑に落ちた。

【新】「全員に金を配る」。壮大な社会実験が始まった (NewsPicks有料記事/BI=ベーシックインカム)

BIとは、工業社会時代の国家のソースコードを書き直すことだ。国家のOSを変えることと言ってもいいかもしれない」(カライアン氏)

産業革命以来の工業時代では、その発展に多くの労働者を必要とし、勤労であることが「是」とされてきた。だが、デジタル革命の進展で、産業の形が変わりゆく中で、労働の対価を前提にしないBIは、社会の根本的な仕組みを変える可能性があるのだという。

「人類は200年にも渡って、いかに『仕事が重要か』というストーリーを作り上げてきた。それは宗教であり、文化であり、倫理だった。それが変わっていく大きな試みとなるだろう」

労働者が等しく労務を提供し、その投入された労働力の総和が生産力になっていた工業化社会は、すでに限界を迎えている。

富の源泉は、知恵であったり、AIに代表されるテクノロジーにとってかわられ、より効率的に「稼ぐ」仕組みをつくることが、経営者にも労働者にも求められるようになっていく。

「労働=時間の切り売り」ではなく、本質的な価値を生み出すことが是とされ、ハイパフォーマーとローパフォーマーの格差は等級的に拡大していく。

そうなれば、多くの人が等しく職場に出かけていき、1日8時間の労働に従事する必要はもはやない。いつロボットやAIにとってかわられるかもしれない仕事をするよりも、得意な仕事や好きな仕事で生産性を上げる方がいいからだ。「勤労」は重要な価値観ではなくなっていくかもしれない。

「80:20」のパレートの法則があるが、20%、もしかしたら2%の人間が、残り98%の人間を合わせたよりも多くの富を生み出す時代になっていく。そうなれば、ベーシックインカムの導入はむしろ必然になる。

2017年は「働き方革命元年」といわれるけど、いま私たちが直面しているのは、労働と再分配のルールの根本的な変化なのかもしれない。
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