B型だもの。

分散化していく世界の片隅で。

大人になったら銭湯にいって、帰りにビールをキューッと飲むのが夢だった。

それから幾星霜。平日の夕暮れ時、ふと時間ができて、その夢を叶えようと思った。

北里大学沿いの通りは、大村智氏のノーベル賞を商店街あげて祝っている。白金高輪と広尾の中間に位置するオシャレなエリアだが、そんなことを微塵も感じさせない、昔ながらの商店街。
商店街に面した銭湯。
大人460円。サウナに入る場合には1200円。1200円を支払ってハンドタオルとバスタオル、サウナ利用客専用のコインロッカーキーを受け取る。

平日の午後4時過ぎにもかかわらず、女湯は地元客とおぼしきおばさまが20名ほどいらっしゃる。

洗い場でかけ湯をして、ジェットバスへ。しばらく温まってから、露天風呂に移る。露天風呂「白鷺湯」は週替わりで男湯、女湯となる。4人も入ればいっぱいの露天風呂だが、開放感がある。

お風呂で温まってからサウナへ。6人ほど入ればいっぱいのスペースで、じっとして壁面のテレビを見る。7分ほど入って、外の水風呂へ。14度。冷たくて気持ち良い。水風呂の魅力を知ったのは、マンガ「サ道」を読んでからだ。

サウナと水風呂を何度か繰り返す。最後は、水風呂の後にジェットバスに入って、かけ湯をして上がる

更衣所は相変わらず、地元客とおぼしきおばさまでいっぱいだ。「80過ぎて、ちょっとしんどくてねえ」「あら、80過ぎには見えないわ。お若いわ。とっても、お若い」「あたし、ここには毎日きてるのよ」

営々と紡がれたコミュニティに迷いこんだ異邦人の気持ちがする。地域のコミュニティに生きる連体感、明るい前向きさとしたたかさ。その中で、ざぶざぶとお湯をつかる感じ。

風呂を出ると、まだ明るい。温まった体に冷気が心地よい。足がジンジンとして、血液か体液がゾゾゾゾっとものすごい勢いで循環しているような快感。

少しでも早くビールを飲みたい。北里大学の通りには、いくつか昔ながらの店がある。しかし17時前で開いてない店も多い。通り一本渡ると恵比寿。そうだ、「さいき」に行こうと思い立ち、渋谷駅行きのバスに乗る。

「さいき」は恵比寿駅からほど近くにある居酒屋。「孤独のグルメ」に登場した店として有名である。

ビール。 旨い。とにかく旨い。
お通しが3種出てくる。鴨肉ローストとサラダ。大根の煮物。鯛の刺身。どれもしみじみと旨い。
これで満足していれば、2000円もしないで済んだと思うけれど、大根の煮物があとを引く旨さで、ついつい日本酒を頼んでしまった。 さらに、ホタルイカの酢味噌とふきのとうの天ぷら。日本酒をおかわりして、5000円弱。

しめて7000円ほどの都内温泉旅行。垢も何もかも落として、帰宅ラッシュが始まりそうな恵比寿駅に向かう。



アクアガーデン三越湯
東京都港区白金5-12-16
営業時間:15:30−24:00
定休日: 金曜日・第三木曜日 




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